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配属研究室を検討中の方への案内

研究室の概要
当研究室では,環境にやさしく,自然と共生するものづくりのあり方を探求するために,物理シミュレーションを用いたデザインに関する研究をしています。材料応答の因果関係をシステムと捉え,そのモデリング・アナリシス・シンセシスを通して,新たな工学的価値の創造を行うためのデジタルものづくり支援技術の構築を目指しています。

製造業を取り巻く環境
日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする,カーボンニュートラルを目指すことを宣言しました(2020年10月)。これは,2015年に国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)に関連する項目でもあり,国際的な課題です。その達成には多くの技術革新が求められることから,直接的なグリーン技術である極限的軽量構造デザインを効率的に実現するための方法論と支援技術が重要です。

物理シミュレーションによるものづくり支援
上記のような背景のもと,製造業におけるものづくりのあり方をデジタル化によって根本的に変革する動きであるデジタルトランスフォーメーション(DX)が促進されています。設計開発現場におけるDXにも様々なものがありますが,近年特に重要性が再認識されているのがCAE(Computer-Aided Engineering)技術です。これはコンピュータ上で物理シミュレーションを実行し,工学的な問題解決の支援をする技術であり,従来から実験や試作の代替として活用されてきましたが,より積極的な役割を果たすように進化しています。例えば,CAEの高度化による実験や試作の削減が実現すると,省エネや廃棄物の減少(ゼロエミッション)による環境負荷低減,開発期間短縮化などにつながります。また,AIとCAEによる革新的デザインや新材料の開発が実現すると,従来にない極限的軽量構造デザインを生み出すことができます。

教育と将来像
CAEなどのデジタル技術を駆使し,新たな価値を創造できるエンジニアの需要が高まっています。当研究室の修了生は,将来的ににものづくり業界(自動車,重工業(航空宇宙・エネルギー等),素形材など)にてCAEやAI・IoTを駆使した次世代型CAE技術者として活躍することが期待されます。

(大学院生の就職先の例:IHI,沖電気,オリンパス,スクウェア・エニックス,ソフトバンク,トヨタ自動車,日産自動車,日鉄ケミカル&マテリアル,日鉄ソリューションズ,日立製作所,富士通,本田技研工業)

CAEの習得には長い学習期間が必要です。特に,力学系科目の習熟は必須であると言えます。研究活動を通してより深く学び,技術を身につけるために大学院への進学を推奨しています。私が担当する以下のような講義群を受けることで,固体力学とその解析手法,最適化数理の基礎を身につけることができます。未履修の科目があっても,春学期の間に勉強できるので特に問題はありません。

当研究室に配属が決まった場合の学部4年生の1年間のスケジュールは以下のようになります。

12月末 配属先決定
1月~3月 顔合わせ,引き継ぎと勉強
4月 研究室正式配属 (研究テーマ決定)
4月~7月 研究テーマに関する勉強・文献調査・実験や解析のトレーニング
7月末 前期報告会
8月~9月 SD輪講(1日)
9月~1月 卒論研究
1月中旬 卒論提出
2月頭 卒論発表会

大学院生は積極的に国内外での学会発表,外部との共同研究,論文執筆などを行ってもらいます。これにより,研究に関する知識と技術を深めるのみならず,発表や執筆のスキル,英語力,プロジェクト管理能力などの実務能力を涵養することができます。